スコットランドのゲール語:文字
1. アルファベット
ゲール語のアルファベットに使われる文字は、次の18文字です。ローマ字しか使われません。
a b c d e f g h i l m n o p r s t u
他にも、6つの文字j、q、v、w、x、zの6文字が、外国語からの借用語、外国の地名、科学用語などに使われることがあります。かつて、その18文字は、それぞれ木や草の名前が付けられていましたが、現在は英語と同じように「エー、ビー、シー、...」と発音します。昔の木と草の呼び方は、以下の通りです。
Ailm (ニレ)
Beith (カバノキ)
Coll (ハシバミ)
Dair (オーク)
Eadha (ヤマナラシ)
Fearn (ハンノキ)
Gort (セイヨウキヅタ)
Uath (サンザシ)
Iogh (イチイ)
Luis (ナナカマダ)
Muin (つる植物)
Nuin (アッシュ)
Oir/Onn (ハリエニシダ)
Peithe (ゲルダーローズ)
Ruis (ニワトコ)
Suil (ヤナギ)
Teine (ハリエニシダ)
Ur (ギリュウモドキ)
なお、アルファベットの現在の読み方は、既に述べたように、英語とほぼ同じですが、スコットランド・ゲール語の本当の音に近いのは、以下の読み方です。学界で使用されて、推奨されています。
スコットランド・ゲール語のアルファベット読み方 - YouTube
Aibidil na Gàidhlig (ゲール語のアルファベット)
a
à
b
bé
c
cé
d
dé
e
è
f
ef
g
gé
h
héis
i
ì
j jé 外国語の借用語以外に使われない k ká 使われない
l
el
m
em
n
en
o
ò
p
pé
q cú 外国語の借用語以外に使われない
r
ear
s
eas
t
té
u
ù
v vé 外国語の借用語以外に使われない
w wé 外国語の借用語以外に使われない
x ex 外国語の借用語以外に使われない
y yé 使われない
z zae 外国語の借用語以外に使われない
母音
「母音字」は「a」,「e」,「i」,「o」,「u」の5つです。
Stràc 長音記号
「母音字」には「短母音字」と「長母音字」の2つがあって、「短母音字」のときはそのまま、「長母音字」のときは文字の上に長音記号を付けて、「À」,「à」,「È」,「è」,「Ì」,「ì」,「Ò」,「ò」,「Ù」,「ù」となります。長音記号は、スコットランド・ゲール語では「ストラーハク」と呼ばれています。
*以前、長音記号が2つ使われていました。Stràc gheurは、鋭アクセントという意味で、右上から左下に下がる記号のこと。Stràc thromは、左上から右下に下がる記号のこと。現在、標準語で鋭アクセントは使われていませんが、ゲール語の学習者にとって [ɛː](例:'sè)と[eː] (例:dé)の発音や、 [ɔː] (例:còta)と[o:](例:mór)の発音を区別するための有益な手段でした。
スコットランド王国は、ゲール語王国として生まれました
スコットランドのゲール語とは?
スコットランド・ゲール語は、印欧語族のケルト語派に属します。ケルト語派の中では、スコットランド・ゲール語と3つの言語(アイルランド(ゲール)語、ウェールズ語、ブルトン語)が今日も日常語として生き残っています。スコットランド・ゲール語はアイルランド語から徐々に離れ、別個の言語と思われるようになりました。従って、「ゲール語」という用語はこれら3つの言語をすべて指すと考えてよいです。
ゲール語は、すくなくともA.D.3年からスコットランドで話されています。A.D.5年までもうすでにアーガイル地域に根付いていました。
それで、A.D.5年とA.D. 12年の間にスコットランド全土に広まってきました。その以降だんだん減ってきてしまいましたがまだアウター・ヘブリディーズ諸島で日常語として生き残っています。