スコッチウィスキーとスコットランド・ゲール語の関わりとは?
ウィスキーは、ゲール語文化的製品です。ウィスキーを作る知識や手順などの発祥の地は、ゲール語圏のアイルランドとスコットランドだと言えるでしょう。
日本語のウィスキーという言葉は、ゲール語のuisge/uisce「ウシュケ」が起源である。しかし、ゲール語の「ウシュケ」の真の意味は、ウィスキーではなくて、「水」という意味です!
「ウィスキー」は、ゲール語でなんて言いますか?
スコットランド・ゲール語では「ウィスキー」がuisge-beathaと言います。この意味は、「命の水」です。(発音:ウシュケ・べッハ)
しかし、ゲール語では、様々な詩的と婉曲的な呼び名があります。以下、ご覧ください。
- 大麦の汁 sùgh an eòrna スー・アン・ヨールナ
- Ferintoshの物/Ferintoshの息子 stuth na Tòiseachd/mac an Tòisich(Ferintoshという場所名のウィスキーは、17世紀で高品質としてスコットランド全土で知られていました。そこから「Ferintoshのようなウィスキー」という意味で、この表現が発祥しました)
- 大麦の息子 mac na bracha 「シングル・モルト」という意味を指す用語です。
さて、スコットランド・ゲール語圏のバーでウィスキーを飲むときの役に立つ言葉や表現を見ていきましょう。
計量名
60滴のウィスキー計量、ウィスキーの一杯 |
|
· tè bheag チェイ・ヴェック |
少量のウィスキーの一杯 |
· tè mhòr チェイ・ヴォール |
大量のウィスキーの一杯 |
大麦のウィスキーの一杯 (シングル・モルトの種類) |
乾杯する言葉
· slàinte スラーンチュ
|
乾杯! |
· slàinte mhath / mhòr スラーンチュ・ヴァ・ヴォール |
良い乾杯・大乾杯 |
Gun cuireadh do chupa thairis le slàinte agus sonas!
結婚式のための言葉で、「あなたのさかずきが健康と幸福であふれるようにお祈り申しあげます!」
スコットランドのゲール語:文字
1. アルファベット
ゲール語のアルファベットに使われる文字は、次の18文字です。ローマ字しか使われません。
a b c d e f g h i l m n o p r s t u
他にも、6つの文字j、q、v、w、x、zの6文字が、外国語からの借用語、外国の地名、科学用語などに使われることがあります。かつて、その18文字は、それぞれ木や草の名前が付けられていましたが、現在は英語と同じように「エー、ビー、シー、...」と発音します。昔の木と草の呼び方は、以下の通りです。
Ailm (ニレ)
Beith (カバノキ)
Coll (ハシバミ)
Dair (オーク)
Eadha (ヤマナラシ)
Fearn (ハンノキ)
Gort (セイヨウキヅタ)
Uath (サンザシ)
Iogh (イチイ)
Luis (ナナカマダ)
Muin (つる植物)
Nuin (アッシュ)
Oir/Onn (ハリエニシダ)
Peithe (ゲルダーローズ)
Ruis (ニワトコ)
Suil (ヤナギ)
Teine (ハリエニシダ)
Ur (ギリュウモドキ)
なお、アルファベットの現在の読み方は、既に述べたように、英語とほぼ同じですが、スコットランド・ゲール語の本当の音に近いのは、以下の読み方です。学界で使用されて、推奨されています。
スコットランド・ゲール語のアルファベット読み方 - YouTube
Aibidil na Gàidhlig (ゲール語のアルファベット)
a
à
b
bé
c
cé
d
dé
e
è
f
ef
g
gé
h
héis
i
ì
j jé 外国語の借用語以外に使われない k ká 使われない
l
el
m
em
n
en
o
ò
p
pé
q cú 外国語の借用語以外に使われない
r
ear
s
eas
t
té
u
ù
v vé 外国語の借用語以外に使われない
w wé 外国語の借用語以外に使われない
x ex 外国語の借用語以外に使われない
y yé 使われない
z zae 外国語の借用語以外に使われない
母音
「母音字」は「a」,「e」,「i」,「o」,「u」の5つです。
Stràc 長音記号
「母音字」には「短母音字」と「長母音字」の2つがあって、「短母音字」のときはそのまま、「長母音字」のときは文字の上に長音記号を付けて、「À」,「à」,「È」,「è」,「Ì」,「ì」,「Ò」,「ò」,「Ù」,「ù」となります。長音記号は、スコットランド・ゲール語では「ストラーハク」と呼ばれています。
*以前、長音記号が2つ使われていました。Stràc gheurは、鋭アクセントという意味で、右上から左下に下がる記号のこと。Stràc thromは、左上から右下に下がる記号のこと。現在、標準語で鋭アクセントは使われていませんが、ゲール語の学習者にとって [ɛː](例:'sè)と[eː] (例:dé)の発音や、 [ɔː] (例:còta)と[o:](例:mór)の発音を区別するための有益な手段でした。
スコットランド王国は、ゲール語王国として生まれました
スコットランドのゲール語とは?
スコットランド・ゲール語は、印欧語族のケルト語派に属します。ケルト語派の中では、スコットランド・ゲール語と3つの言語(アイルランド(ゲール)語、ウェールズ語、ブルトン語)が今日も日常語として生き残っています。スコットランド・ゲール語はアイルランド語から徐々に離れ、別個の言語と思われるようになりました。従って、「ゲール語」という用語はこれら3つの言語をすべて指すと考えてよいです。
ゲール語は、すくなくともA.D.3年からスコットランドで話されています。A.D.5年までもうすでにアーガイル地域に根付いていました。
それで、A.D.5年とA.D. 12年の間にスコットランド全土に広まってきました。その以降だんだん減ってきてしまいましたがまだアウター・ヘブリディーズ諸島で日常語として生き残っています。